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恋愛小説やドラマ・映画・漫画などのほとんどが、身近なところから恋愛へ発展するシナリオになってしまっていて、身近なところに好きな人がいなかったり、そもそも身近な場所に出会い自体がない人にとっては、これは好ましくない流れです。
恋愛相談で、恋人ができないという相談が多いのは、この好ましくないシステムが世の中を支配してしまっているからです。
出会いの形というものを根本的に変えていく必要があります。
偶然の出会いに頼るのではなく、必然的に好きな相手を選べるような環境へ大きく転換する必要があるでしょう。

夜明けまで1マイル・著者・村山由佳
主人公は大学生の「僕」こと涯。
ベースの涯、ヴォーカルのうさぎ(女)、ギターの直樹、ドラムのセイジの4人の学生が組むバンド「Distance」と講師マリコを加えた恋愛ストーリー。
マリコは医師の夫をもつ。夫の不倫が原因でケンカとなり、夫が単身赴任のあと、涯とマリコが不倫関係となる。
うさぎと涯は幼馴染で、うさぎは直樹に片想い。男っぽいことや処女であることにコンプレックスを持つ。そしてうさぎは吉田という男からつきあってほしいと告白されている。

主人公の「涯」という名前に、この物語の核心が込められています。

女性の視点から主人公である男性の心情を描いているため、やや違和感があります。小説の中に出てくる「僕」の目線は、女性の目線に近いのかなという気もします。

ピックアップ文章表現
・「えらい。さすが」うさぎが、別にえらくもさすがでもなさそうに言って、ぱちぱちぱちと拍手した。
・うさぎは、ピッと小気味よくつりあがった大きな瞳で僕を見下ろしていた。

風の歌を聴け・著・村上春樹
群像新人賞を受賞した村上春樹氏のデビュー作です。
1970年代「ジェイズ・バー」をキッカケに男女が出会う。若い人たちの青春の一片を描いた小説。
当時の若者が聞いていたであろうラジオのMCの話し方まで詳細に描かれています。今と比べるとかなりキザ(シゴ?)な感じの話し方になっています。
オモシロい表現ピックアップ
・・・僕たちは、店の奥にある薄暗いコーナーでピンボールを相手に時間をつぶした。いくばくかの小銭の代償に死んだ時間を提供してくれるただのガラクタだ・・・

彼方への日々・著者・唯川恵
スイミングスクールのインストラクターを勤める主人公「曜子」の恋愛ストーリー。
田村徹也は、50人くらいのクラスの中で出会った大学時代の友人で、飲みに行ったりスキーに行ったりいつも遊びに行ってた。
卒業後も交流は続き、あるとき曜子は徹也から結婚してほしいとプロポーズを受ける。
しかし曜子は徹也に恋はしていない。
そんな折、曜子は、たまたまスイミングスクールに見学に来ていた久住陸という男と出会う。
彼は、曜子に造形のモデルになってほしいと頼む・・・。

ピックアップ
意志の強そうな眉の下に、見るたびに印象を変える目。少し癖のある髪が無造作に額に落ちている。細面だけどもひ弱そうな感じはしなかった。
それから曜子は、彼の指に目が吸い寄せられた。華奢で長い指。男っぽさとは縁遠い感じがする。けれどもひどく力強いのだ。特別な何かを知っている指、そんな印象があった。

派遣ちゃん・著者・宮崎誉子
2部に大きく分けた構成で、前半は女性の派遣社員が登場し、後半は男性の派遣社員が登場します。
派遣社員となって仕事先がみつかるまでの面接や研修、ロープレなどの流れや、梱包、検品、テレオペなど派遣社員の仕事がどんなものか、派遣仲間や派遣先の正社員とどんな会話をしているのか良く分かる作品です。
女性が多い職場のため、男性からみると出会いが多そうな印象を受けます。
そして派遣社員を雇っている会社の正社員の男性はモテルというイメージが伺えます。
後半では、出会いのないシステムエンジニアの男性に派遣仲間の女性を誰か紹介してほしいというワンシーンもありました。

ピックアップ
「鳩時計に教えてやるけど、テレオペにとって大事なのは暗記よりもファイリング!全部覚えるなんて無理なんだから、どこに何があるかパッとファイル開いて素早く説明できる方が大切だよ。」

星新一(小説家・ショートショートの神様)
未来を見る先見の明がある。
星新一氏の作品は、臓器移植・インターネット社会・クローン技術・オレオレ詐欺など未来を見事に予想している。

出会いを求めて、習い事やアルバイトをする人もいますが、恋人を探す目的で来ている人がいるかどうかわからないし、好みの異性がいるかどうかも分かりません。自然の出会いや偶然の出会いに期待する流れは、確率的にいって好ましいとはいえませんね。
ドラマや恋愛小説・映画・漫画などに見られる恋愛のほとんどは、出会いに関して何らアクションを起こさなくても自然(偶然)に好きな相手と出会って恋愛に至るというパターンが多く、多くの人はこれらの影響を受けてしまって、これらをナゾルかのような行動(偶然の出会いを求めた行動)をしてしまっています。思い描いているような出会いに巡り合える確率は低く、貴重な時間を無駄に浪費してしまう可能性の方が高いです。
恋愛相談の中では、彼氏や彼女ができないという相談が一番多いそうですが、この流れでは当然の帰結といえるのではないでしょうか。
このような流れの中で、出会いがないのは自己責任と切り捨ててしまうのは問題です。
偶然の出会いから、必然的に出会える環境整備が急がれます。

三毛猫ホームズの無人島・著者・赤川次郎
三毛猫の名探偵が活躍する4部構成のミステリー小説です。
かつて炭鉱として栄えたその島は、現在は廃校となり、島民はみな島を離れ無人島となっていた。
ある日、だれも住んでいない無人島に突如として明かりがともり、かつて島に住んでいた人々のもとに、招待状が届く。しかしその差出人は、すでに死亡しているかつての炭鉱で働いていた組合員であった。

原子力発電所が最も多い都道府県は、福井県。
石油の生産量が最も多い都道府県は、新潟県。
養殖のりの収穫量が日本一の都道府県は、佐賀県。
養殖ワカメ日本一の都道府県は、岩手県。
蛮社の獄で収監された人物は、高野長英(江戸時代後期の医者・蘭学者・幕府を批判して囚われの身となった)。
威圧の対義語は、懐柔(手なずけて従わせる)。
小泉八雲(ギリシア生まれ・明治の小説家・「東の国より」「心」「怪談」「骨董」など)
雪舟(室町時代・東山文化を代表する水墨画家(1420年−1506年)。「秋冬山水図」など)
マゼラン(大航海時代の航海者で冒険家。世界一周)
島崎藤村(明治時代の詩人・小説家。「若菜集」「夜明前」「夏草」など)
松方正義(日本銀行を設立し、金本位性を唱えた。第4代・6代の内閣総理大臣)
ビクトリア女王(イギリスの女王(1837年ー1901年)。1877以降はインド皇帝も兼ねた。)
志賀直哉(「白樺派」を代表する小説家。代表作には「暗夜行路」など)


Qさま!!3時間スペシャル
さまぁ〜ず、優香 アンタッチャブル山崎、オードリー、木村美紀、載寧龍二、生瀬勝久、菊川怜、南海キャンディーズ、松尾依里佳、水野裕子、西田ひかる、八田亜矢子、村井美樹、ロバート、ロザン、佐藤夏希(AKB48)

泣かないで、パーティーはこれから・著・唯川恵
主人公の琴子が勤めていた外資系の貿易会社は、社長が会社名義でノンバンクから借金を借り受けたすえ行方をくらまし倒産してしまう。さらに追い打ちをかけるように琴子は恋人から突然別れを告げられる。失業と失恋のショックで自宅に閉じこもる。
就職先を探すも見つからず、途方に暮れていた時に同僚の真央から六本木のクラブでホステス(一時間3000円のアルバイト)として一緒に働かないかとの誘い電話が入る。真央の話によると一流企業の偉い人が店に来るらしく、うまくいけばそこの会社に就職できるという。
2人は、アルバイトとしてクラブで働くことになるが、お客とトラブルがありすぐに辞めることとなる。
実家へ帰ろうか迷っていた時、友人からあるパーティーの誘いの電話がかかる。
そしてそのパーティーで琴子は一人の男性と出会う・・・。

著者は、コバルトノベル賞や直木賞など受賞。数多くの恋愛小説を書き、多くの女性から共感を得ている。

海岸通り物語・著者・正本ノン
主人公も絵里沙は、中学の時に、祖母が開いていたピアノ教室に習いに来ていた高校生の瞬に一目ぼれする。絵里沙の初恋の相手だった。そのときはほとんど何も話さずに2人は別れ、その後5年間は会う機会もなかった。
絵里沙が高校生となった17歳のときに、再び瞬と出会う機会に恵まれる。このとき2人は短いながらも会話を交わし絵里沙は2度目の恋に落ちる。
友人・蕗子の勧めで絵里沙は、蕗子のいとこの幾太郎と蕗子とともに、女性と一緒にいた瞬を尾行する。幾太郎のバイクの後ろに乗り、瞬の車の後を追う。埠頭で瞬が女性といるところ、幾太郎が悪役を演ずる芝居をうち、絵里沙は瞬のもとに駆け寄ることになる。泣き崩れる絵里沙を見た瞬は、一緒にいた女性とともに車で家まで送り届ける。
きっかけを掴んだ絵里沙は瞬がアルバイトをしているカフェへ白いバラをとどけ、何度か会話を交わしたのち、電話で気持ちを伝える。瞬は忙しくてデートにつきあういとまがないと言いつついつかデートに誘うと約束をする。この日から絵里沙は瞬からの電話を待ち続けるがなかなか電話はかかってこない・・・。

ピックアップ
「瞬さんが追うことは?」
「もちろん、あるさ。でも、気づいてしまうんだ、やっぱりね。彼女の瞳の中に、何がしかの拒絶やおびえやもろもろの感情をね。すると、それ以上追えなくなって、胸にしまいこむことばかり増える。」

泳ぐのに、安全でも適切でもありません・著者・江國香織
恋愛系の短編小説集です。
1・泳ぐのに、安全でも適切でもありません・・・・無色で彼女の財布からお金を抜き取るような男と付き合っている女の話です。
2・うんとお腹をすかせてきてね・・・・バツイチ離婚経験あり子持ち男性と付き合う女性のおのろけ話です。
3・サマーブランケット・・・・13年間不倫関係一筋の裕福な家庭に育った女の話。
4・りんご追分・・・・高校を卒業後に通った被服の専門学校で出会った男と10年間つきあった女の話です。出会いのきっかけは学校。
5・うしなう・・・・夫との出会いが、玄関マットのリース会社の営業先のお店だった女の話。出会いのきっかけは職場。堤文枝という別の女性は学生時代に所属していた演劇部で彼氏と出会ったという。
6.ジェーン・・・40代の既婚男性と不倫関係の女子大学生の話です。

ピックアップ
・男は声も表情も暗く、不穏だった。雨も降っていないのに、雨のにおいがするようだった。
いきなりあたしはどきどきした。男が「ねじ」に来るお客さんとは、全然違う空気を発散していたから。
・あかるい玉子色の壁際に、犬が一匹ねそべっていた。日向と日蔭のコントラストの強さに、現実感がゆがむのが分かった。

モモ・時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語
著・ミヒャエル・エンデ 約・大島かおり

モモは、年齢が8歳くらいか12才くらいか見当もつかいない女の子。通りすがりの人が年をたずねても「百」「百二」と曖昧な答えが返ってくる。
背は低くて目が大きく、髪は真黒なくしでといてない巻き毛。スカートは長く男用でだぼだぼの上衣を着ている。
モモは、話を聞くことが大変上手で、モモと話をしていると、引っ込み思案で口下手な人でも不思議と話が頭に浮かんできて気持ちよく話をしてしまうと言う。
モモと遊んでいた子供たちは、いろいろな遊び方が不思議と頭に浮かんできてくるという。

こんなモモのいる町に丸い帽子をかぶった灰色の男たちが人目をひかない方法でやってきて、町の人々に時間を貯金しないかと尋ねて回る。

面白い文章表現ピックアップ
とつぜん相手の声は、緊張の極(きょく)に達したように、けたたましく響きました。

そして誰もいなくなった(ミステリ小説)・著者・アガサ・クリスティー
場所はイギリス。10人の男女がオーエンという人物から兵隊島と呼ばれる無人島の邸宅に招待される。オークブリッジ駅まで列車で行き、スティクルヘイブンまで迎えの者が車で送り、そこからモーターボートで兵隊島まで渡るようにとの案内が届く。
招待された10人は、ロレンス(老紳士で退職した判事)、ヴェラ(若い女性の体育教師)、フィリップ(元陸軍大尉)、エミリー(老婦人)、マッカーサー(元将軍)、アームストロング(医師)、アンソニー(車好きの青年)、ブロア(元警部)、トマスロジャーズ(執事)、エセルロジャーズ(執事の妻で料理人)
そして10人を招待した人物オーエン(謎)
7人が先にモーターボートで孤島の邸宅に到着し、そこで執事のロジャース夫妻が待っていた。遅れてアームストロング医師が到着する。
部屋のかざり棚の上にあった紙には、10人の兵隊さんが次々といなくなり、そして最後には誰もいなくなるという詩が書いてあった。
ミステリの女王とも言われるクリスティの作品。

ピックアップ
嵐は激しくなる一方だった。風がうなって、屋敷に襲いかかる。